ゆっくりと、私は目を開いた。
まぶたを開くとそこは相変わらずの暗闇の世界。
光を表すものが何ひとつ存在しない世界。
とても狭く、身動きもままならない。
そこは縦も横も、上も下も感じられない世界。
そこに私は今日もひとりで閉じ込められていた。
立っているのか、寝そべっているのか、それすらもわからない。
私はひとり、この暗く狭い世界の中で、光が差すのを待っている。
暗い……。
怖い……。
……寂しい。
誰も私を助けてくれない。
誰も私のそばにいてくれない。
誰でもいい、私のそばにいて……。
でも誰でもいいわけじゃない……。
あれからどれぐらい時が過ぎたのだろう。
何日か? 何ヶ月か? ひょっとして、何分か?
あれはすべて本当の出来事?
夢だったら、どんなにいいか。
悪夢なら、いくら怖くてもかまわない。
ああ、暗い。
どうして私は黒いスーツなんて着てしまったのだろう。
どうして私は白い服を着ていなかったのだろう。
白い服を選んでいれば、この暗闇の世界も少しは明るくなったかもしれないのに。
白い服を選んでいれば、私が白いお姫様になっていたかもしれないのに。
白い服を選んでいれば、優しいカエルが私を起こしてくれたかもしれないのに。
白い服を選んでいれば。
白い服を選んでいれば……。
だんだん眠たくなってきた。
この世界にいると眠たくてしようがない。
狭いけれど、暗いけれど、とてもフカフカしてあたたかい。
眠くなる。
眠りたい。
もう寝ます。
おやすみなさい…………。
ガタッ
ねえ、今、少し、揺れた?
ここはどこなのかな。
ギコ、ギコッ
ねえ、今、少し、音がした?
呼んでいるのかな。
ねえ。
ねえ……。
たぶんだけど、もうすぐ私、起きなくちゃいけないような気がする。
でも、それまでもう少しだけ、眠らせてください。
起きたくはないのです。
だから、できれば、起こさないでください。
起こすなら、私に優しくしてください。
私に優しくしてくれないのなら……。
そうでないのなら……。
どうか殺して。






